てんげんつう(畠中恵) |
晴れていたのに、急に雨が降ってきた。妖たちが濡れ鼠になったけれど、離れにはたくさんの手ぬぐいがすでに用意されていた。聞けば、天眼通(てんげんつう)が雨が降ることを教えてくれたのだとか。その天眼通、若旦那に頼みがあると長崎屋にやってきたのだが・・・。表題作「てんげんつう」を含む5編を収録。しゃばけシリーズ18。
20年ほど飼った猫に千里眼を譲られた男。遥か昔のこと、天気、人が思っていることなど、何でも分かるようになった。だが、それは決していいことばかりではなかった。人から怖れられたり、命を狙われたりと、散々だった。「どうすればいいのか?」男は一太郎に解決策を求めた・・・。
千里眼の力を持った人生なんてつまらない。いや、それどころか、耐えられなくて生きていけそうもない。何も分からないからこそ人生は面白いし、その時その時を大切に過ごそうと思うのだから。
そのほかの話、仁吉の縁談、おぎんのケンカの顛末、山姥の話、毛虫だらけの桜の謎も、面白かった。このシリーズはこれからどこへ向かうのか?一太郎の未来には何が待っているのか?気になることはいろいろある。作者がどう描いていくのか楽しみだ。
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