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かがみの孤城(辻村深月) |
いじめが原因で不登校になり、家に引きこもったこころ。救いのない状況の中で、ある日こころの部屋の姿見が光を放つ。その輝きに吸い寄せられるように、こころは鏡の中の世界に足を踏み入れた・・・。
鏡の中の世界には城があった。そして、この城に呼ばれた者は全員が中学生で、こころを含め7人いた。彼らを呼び寄せたオオカミの顔をした少女は言う。
「お前たちには今日から三月まで、この城の中で”願いの部屋”に入る鍵探しをしてもらう。見つけたヤツ一人だけが、扉を開けて願いを叶える権利がある。」
少女はなぜ彼らを鏡の国に引き込んだのか?なぜ彼らが選ばれたのか?そして、願いをかなえるのは誰か?少しずつ少しずつ状況が見えてくる。先が知りたくて夢中でページをめくった。登場人物ひとりひとりが抱える悩みや苦しみが明らかになるたびに胸が痛んだ。「だれにも相談できない!誰にも分かってもらえない!でも、誰か助けて!」彼らの悲痛な叫びが聞こえてくるようだ。
後半は、さまざまな伏線や謎がが見事に収束していく。彼らのつながり方が心にグッとくる。また、なぜ鏡の中に城があったのか?という理由もたまらなく哀しかった。まさかこんな真実が隠されていたとは!
読んでいてつらい部分や切ない部分もあったが、読後は温もりや優しさを感じた。深い感動が味わえる、読みごたえのある作品だった。
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